メゾソプラノ中森千春~うた日記~

ドイツ音楽と日本抒情歌が大好きな中森千春のつれづれ日記♪

見えないものを数字に置き換えてみると(2市を比べてみました)

上越市民になって、早いもので4年が過ぎました。

振り返ると、コンサートやレッスンなど、地域の音楽事業のノウハウを勉強(経験)できたのは、やはり新潟市にいた9年間です(高校+大学+α)。音楽を専門的に学ぶ身として、また地域に根ざした活動(アウトリーチやコンサート企画などの音楽マネジメント)を企画運営する身として、好きなだけ自由に吸収できたのはとてもありがたい環境でした。

常勤の仕事をやめてフリーの音楽家になり、そして上越市に移り住み、これまで上越地域で様々な音楽イベントを生み出してきました。リサイタル、ジョイントコンサート、歌の講座、...。想定する客層も料金設定も、いろいろです。

もちろん、うまくいった事例よりもうまくいかなかった事例の方がたくさんあります。残念ながら。人が集まっても集まらなくても(来ても来なくても)「やった(遂行した)」という実績は残ってしまうので、いいんだか悪いんだか...。難しいところですね。

 

どうすれば、ここ上越市フリーランス楽家として生きていけるだろうか...。

いつも、毎週、毎月、毎年、ぐるぐるぐるぐる考えています。

人は、「上越は保守的だからね」「上越では5年以上やらないと定着しないよ」「SNSより口コミが重要だ」などと言います。

確かに、住んでいるとなんとなく感じることもあるし、実際にイベントへの反応が薄かったときにはとても痛感してしまいます。でも、「なんとなく」感じることは主観でしかないので、それを数字で表すことはできないだろうか...と考えてみました。

地域の特性・気質の起因となる地理的要素を数字で表せたら、これからの活動方針の助けになるかもしれない。そう思って、市役所のHPを閲覧してみました。

 

(平成30年3月1日現在)

上越市の人口(住民基本台帳に基づく) 194,856人

そして、長く住んでいた新潟市は...

(平成30年3月末現在)

新潟市の人口(住民基本台帳に基づく) 794,166人

さすが、大差。

 

ついでに、市の面積も調べてみました。

上越市 973.3㎢

新潟市 726.4㎢

なんと、上越市の方が広いのですね。ということは...

 

市民一人あたりの占有面積(仮想)を計算してみました。

上越市 一人あたり 4,994.97㎡

新潟市 一人当たり 914.67㎡

おっと、桁が違いました。結構な大差です。

ざっくり計算で比較すると、一人当たり上越市は70m×70m、新潟市は30m×30m、ということかしら。(間違っていたらご指摘ください)

 

これだけ密集度が違ってくると、同じ情報量・情報伝達方法にしても、その拡散力は変わってきますよね。

体育館に整列した子どもたち100人に「○○がほしい人集合!」と伝えるのと、体操ができる隊形に広がった子どもたち100人に同様に伝えるのとでは、その反応は違うはず。

前者は、周りの反応につられる子どももいそうですが(キョロキョロしながら手を挙げたり動いたり...)、後者は、自分の意志がより強く反映されそうです(そもそも発信源から離れてしまうと興味すら抱きにくいし聞こえない)。

つまり、100人に「声」を届けるならば、上越市では新潟市の約5倍頑張る必要がある、という理屈が数字から読み取れます。

 

見方を変えると、こうも言えそうです。一人が声を張り上げて大多数に広めるよりも、伝言ゲームのように(回覧板をまわすように)情報を連鎖させていく方が、上越市では効率的。つまり「○○さんがこういう活動をしている」「○○というイベントがある」という情報をいかに口コミで広めていくか、それが重要になります。

もちろん、口コミの力が強いのは、新潟市でもほかの都市でも同じでしょう。が、地方であればあるほど、俄然その威力は強くなるはずです。

 

この数字から、情報発信の手段を工夫するヒントが見えてきました。

情報の拡散力、口コミエネルギーを高めるためには、何が効果的なのか。

SNSFacebookTwitterなど)、各種メディア(テレビ、ラジオ、新聞など)、他公演でのチラシはさみ、文化施設へのチラシ常設、等々。

そんなことを考えながら、昨年一年間はいろんな活動を展開していました。部分的に採算度外視の実験的要素もありましたが...。この話は、また改めて書きます。