地方でのコンサートでよく使われる魔法の言葉「地元ゆかりのアーティスト」。
この言葉を使えば、そのアーティストを知らなくても親近感を持ちやすくなります。
この「地元ゆかり」は、どういう定義なのでしょう?
私は、その地域で「生まれた」「育った」「暮らした」「勤めた」「今現在住んでいる」のどれかに該当すれば、「地元ゆかり」だと捉えています。
以前、あるコンサートでこんなお問合せの電話をいただきました。
「出演者は、上越出身の方ですか?」
私は現在上越市在住ですが、上越市出身(上越市生まれ)ではありません。そのとき共演したピアニストは、上越市出身で上越市在住。
その旨はそれぞれのプロフィールとしてフライヤーに掲載していたので、電話で答えても差し支えないと思い、そのまま伝えました。すると、その方は「そうですか、上越の方じゃないんですね...」と少し残念そうにつぶやいていました。
上越市在住というだけでは親近感を持っていただけないのかもしれない、と感じた一件でした。
また、別のコンサートでは次のような感想をいただきました。
曲間のトークで出身地の話をしたことがきっかけだと思いますが、アンケート用紙の感想欄に「柏崎市出身の中森さんが、どうして上越でコンサートを開いているのですか?」とあってびっくりしました。
え、出身地以外でコンサートを開いちゃダメですか?(笑)
もう少し、上越愛をアピールするようなトークをすればよかったのかもしれません。
ちなみに、この感想ワードは、昨年いただいた「ベストオブ衝撃ワード」の堂々一位に輝きました(笑)
「地元ゆかり」という言葉は、受け取る人によっていろんな枠が存在している言葉だと思います。
私は上越市に住む身として、「上越市在住」であることは毎回のプロフィール文に添えて、コンサートのトークでも触れるようにしています。ひとつの地域を拠点に活動する身として、その地域の人たちに受け入れていただけるきっかけになれば、と思っているし、それがきっかけで活動を応援していただけたら、とてもありがたいことです。
ただ、今現在住んでいることを「地元ゆかり」「地元の人間」と判断していただけるかどうかは、また別の話なのかもしれません。
地元ゆかり。
コンサートや出演者に興味を抱き、聴いてみよう、応援しよう、また聴きにいこう、今度は友人を誘ってみよう、...という原動力のひとつではあるものの、とても不確かな言葉であり、受け取り方もさまざま。
紹介文の一部として使うには便利な言葉ですが、キャッチコピーとして安易に使うのは、なかなか難しそうです。