メゾソプラノ中森千春~うた日記~

ドイツ音楽と日本抒情歌が大好きな中森千春のつれづれ日記♪

第九を聴きながら

昨晩、NHK教育の第九で藤村実穂子さんが出演されていました。



すごかった。



藤村さんといえば、数か月前にこの記事に出会いました。

朝日新聞グローブ(GLOBE)|Breakthrough ― 突破する力 藤村実穂子
http://globe.asahi.com/breakthrough/091207/01_01.html

これを読んで、私は将来の自分をイメージすることができませんでした。
リートを勉強するメゾの歌い手として、私はどれだけの精神をそなえているだろう。
一つの音、一つの言葉、一つの子音、その微妙なニュアンス、それぞれにどれだけの比重をかけて向き合えているのだろう。
その時間と労力を、人生の中からどれだけ割いているだろう。

私はまだ「かけだし」のようなもので、公演の感想には「若いのになんたらかんたらで」という定型文が目に入ります。
実年齢がどうのこうの、というわけではなく、あくまでも歌い手の中では歳が若い方、ということだと思います。
お褒めの言葉をいただけるのは嬉しいし、また同時に身が縮こまるような思いをするのですが、これが数年経ち、数十年経ち、「若い」なんて形容詞と縁がなくなったとき、私には何が残るんだろう。と考えるのです。



藤村さんはとっても尊敬する歌い手さん。
私が同じくらいの年齢になったとき、果たして今の彼女と同じような精神で歌えているのでしょうか。

他のパートはもちろん聞こえるけれど、アルトも自然に耳に入ってくる、という(私にとって)理想的なアンサンブルを聴きながら、心新たに音楽に向かいたい気持ちになりました。