メゾソプラノ中森千春~うた日記~

ドイツ音楽と日本抒情歌が大好きな中森千春のつれづれ日記♪

映画『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』を観て

ドキュメンタリー映画『ニューヨーク公共図書館―エクス・リブリス』を観てきました。

事前に上映時間をチェックすると、なんと長丁場の3時間25分...

スケジュールをやりくりして、ようやく目途がついたのは上映最終週でした。

 

takadasekaikan.com

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明治生まれの趣ある映画館。建てられた当時の建築様式や文化が色濃く残っている建物です。

 

とにかくたくさんの「人」と「知」に出会える作品でした。

ニューヨーク公共図書館は、本館分館含めて92(!?)の図書館からなる施設。都市の規模、多様な人種、文化、価値観、…日本の地方に住む身からすれば、すべてが規格外です。

ただ「図書館のドキュメンタリー」ということに惹かれて足を運んだので、事前勉強もせずにいたものだから、そのスケールに驚きつつ、よくもまあ3時間半に収まったなぁと変なところに感心してしまいました(笑)


帰りに、他のお客さんが支配人の方と「公立じゃなくて公共なのがミソだよね」と話されていました。

ニューヨーク公共図書館は、市の予算と民間の寄付が半々。限られた予算で、どれだけ魅力的な企画が生み出せるか、持続可能な「知」の保有管理をどのように展開していくか、そしてどのようにして予算を増やしていくか。

映画の中で、そうした議論を進めていく幹部会議の様子がとても興味深かったです。

 

個人的に心踊ったシーンは、司書が電話越しにレファレンスサービスを行うシーンと、大量の返却本が高速仕分けされていくシーン。

各館宛てのコンテナへ、大量の返却本がコンピュータ制御で仕分けされていく様子は圧巻でした。日本では考えられない作業量です。郵便局の仕分け作業の書籍版、とでも言えそうです。

あんなに乱雑に仕分けして本は傷まないのかな、と少し心配になりましたが、おそらくペーパーバックがほとんどなのでしょう。さすがに皮製本ものや希少本は扱いが違うはず...

 

何かに関心を持ち、何かに夢中になり、さらにその「何か」に深く触れようとしたとき、人は「マイノリティ(少数派)」に転じます。それが社会的現象であっても、大ベストセラーの本であったとしても。

その「マイノリティ市民」一人一人とどれだけ接点を持てるのかが、図書館の大きな役割ではないでしょうか。

映画の中では、長らく人種差別が横行していた地域の分館の特徴として、そうしたフォローアップが積極的になされていました。

また、人が聞けば「奇抜」と思われるような突飛なテーマについての問い合わせに対しても、的確に図書資料を紹介する司書の姿があちこちに登場していました。

プロ。プロフェッショナル。

スクリーンを通して、「知のプロ」と「知の量」に触れたひとときでした。

 

 

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