メゾソプラノ中森千春~うた日記~

ドイツ音楽と日本抒情歌が大好きな中森千春のつれづれ日記♪

合唱団でのトレーナー業一考

いくつかの合唱団で指導者として関わる中で、指揮、練習指導、下振り、トレーナー、等、いろんな肩書きを経験してきました。定例練習での指導の延長として本番で指揮を振ることもそれなりにありますが、多くは「トレーナー」の呼称がしっくりくるような内容の仕事をしています。

トレーナー業、大好きです。料理番組でいうところのアシスタントスタッフでしょうか。料理人(指揮者)がスムーズに調理できるように(自分の解釈を表現しやすいように)、その下拵えをするのが楽しいのです。ただ、一方で、下振りするなら本番まで担当したいという気持ちも、その責任も、よく分かります。

本番を振る指揮者へどのようにバトンタッチするかは、その時その時で違ってきます。大体の音取り完了、で引き渡すこともあれば、楽譜に忠実な演奏ができてからのときもあるし、本番指揮者がどう振りたいか予想しつつ柔軟な対応ができるように歌いこんでから引き渡すことも。指揮者との信頼関係、自分の立ち位置、団員のスキル、いろいろ考慮しています。

このバトンタッチ、橋渡しの役目に、やりがいを感じているわけなのですが、「そこまで関わるのなら本番も振りたくなるでしょ?」とよく言われます(笑)きっと私は、合唱団の練習に関わることが好きなんだと思います。

 

客演指揮者や常任指揮者に引き渡さない立場(私が本番も振る場合)であれば、練習の早い段階から好みの発声や発音やその他いろいろな表現方法を追求したくなります。引き渡す場合、ときには私のそうしたアプローチが後々邪魔になるときがあるのを知っています(笑)

そういう練習内容の「自由度」が、各団体での自分の立ち位置如何で変わってくるのが面白い。普段の何気ないやりとりでこちらのテンションが上がるときもあれば下がるときもあります。できればそれも含めて、面白いと感じたいのです。

 

「音楽の表現は〈思想〉ではなくて〈アイディア〉だ」と言った音楽家がいます。トレーナとして団に関わることで、ほかの指導者(指揮者)と関わることができ、別の〈アイディア〉に出会うことができる。トレーナーとして、練習を通して、私はその刺激(アイディア)を求めているのだと思います。